話す



数日前からお隣りにきた彼女。



彼女が同室になってから、ここの病棟で一番静かだった部屋から一番騒々しい部屋に一変した。


それまではとにかくおとなしい部屋だったので、周りのちょっと気難しい高齢者の声が絶えなかったこの病棟。


ところが!


彼女が来てからは周りが本当に静かになった。たまに看護婦さんを困らせているには変わりないが、彼女のビデオ通話と電話だけでここには何人いるの?と聞きたくなるほど複数人の声が飛び交う。
しかも大音量📣



なにをそんなに話すことがあるのかな?と思うほど。
1-2時間は普通に続く。まるで本当にそこにいるかのように話し続ける。


そのエネルギーに脱帽。声の張りはもちろんのこと、彼女は膵臓が問題で集中治療から蘇生し、今は膵臓のリカバリーと共に肝臓の移植を緊急で必要とする重症患者。
プラス腎臓の透析患者でもある。



その彼女、体重は96kgと少し減少して、ようやくぼちぼちと規制食ではあるが食し始めた。



口少ないけれど、話しかけてみた。
私が食べない物があれば分けてあげる。もちろん規制内でね。



私と話す時の彼女の声は優しい。
柔らかなアラビアンが表情豊かで綺麗だ。




言葉って不思議。
話す相手と環境で同じ言語も180度様変わりする。


ようやく彼女の笑顔を見せてくれるようになったと思ったら、私はもうすぐ退院することになるだろう。




言葉のエネルギーから、彼女がこの困難を乗り切ってくれるだろうと信じている。





ピアノ弾きの覚書

ピアニスト 純子マッサーリアの覚書き、ひとりごと、演奏会情報など、気ままにつづります。

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