トリノ鑑賞室〜名演奏家
こんにちは!
今日の鑑賞室は午後ではなく、いつもの朝食時のラジオから。
今朝はラジオをつけたらブラームスのピアノソナタがすでに流れていた。
いつものごとく先入観なしで聴きました。
いや、
この演奏ってどうよ?
音の切れはあるけど豊かさがまるで聴こえない。
フレーズや音の処理も雑だし、正直耳障りな部分が満載。
解せないね。。。
ようやく演奏が終わると拍手👏👏👏👏
いや、私だったら拍手したくないな、、、と思った。
で奏者は誰よ?と聞いてみるとなんと
リヒテル
じゃないですか⁉️
20世紀の巨匠であるリヒテル???
彼のピアニズムや音楽は素晴らしい記録がたくさんありますが、こういうライブものはCDとかとは異なりその時の良し悪しが出ますね。
まずね、楽器そのものがいわゆる現代の良い調整をされているものではないことが録音からも聞き取れます。ロシア系のピアニストの録音は、往々にしてこれはエストニア?ペトロフ??と思わせるピアノの音色である時があります。
楽器そのもので演奏も変わりますからね。
きっとリヒテルの手には収まらなかった楽器だったのだろう、と察します。
楽器が悲鳴をあげてる音。
そして、打鍵の強いピアニストが弾くと跳ね返ってしまうために、所々が雑に聞こえるのはそのためだと思われます。
そういう私も打鍵が強いタイプなので、日本の軽カル〜〜の調整をされているピアノだと本当に演奏していて嫌になることがあります。
まさしくその感じが演奏から滲み出ていました。
それでも、楽器の良し悪しとは関係なく出てきたもので評価されるんですから、辛いですよね。
リヒテルであっても、今朝のブラームスはいただけなかった。
話変わって現代の巨匠バレンボイムでさえ、いつも素晴らしい演奏ということはない。
ミラノで彼がベートーヴェンピアノ協奏曲全曲演奏会をシーズンでやった時、その中のどれかが物凄いブーイングを浴びたことがあります。これが日本だったらね、きっと納得しなくてもブラボーがかかるのかも。日本ってそういうところ。でもこちら本場は容赦ないですよ〜大家であろうが正直な反応が客席から返ってくる。
厳しいです。
でもね、本場で厳しく叩かれて強くなるからこそ巨匠が生まれるの。
今朝のリヒテルは私にとっては全く受け付けない演奏でしたが、リヒテルという名演奏家であることは間違えありません。他のもので有無を言わせない素晴らしい名演を山のように残しています。
バレンボイムも然り。
学ぶことはいくらでもあります。
たとえそれが納得のいかないものであっても、学ぶことはそこにもあるということです。
一部の演奏だけに執着せず、様々な角度から受け入れられる柔軟な頭を持って臨むこと。
大切ですね。
自分の演奏も同じこと。
自分の中の理想を時には崩すことも大切です。
そんな切り崩し作業をしている時こそ、新しい発見ができるというものです。
枠から外れる勇気を持って学ぼう。
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