100歳ピアノが教えてくれる音
先週、図書館に寄付された100歳になるピアノを見てきた。
見てきた、というのは使える状態かどうか判断しに行く仕事の一つです。
↑この写真は中のアクションを出す前に鍵盤蓋だけ外した状態。
イタリアの歴史ある建造物はいずれも天井が高い。
ベヒシュタインのセミコン。
元々ピアニストが使っていただけあって、コンディションはまずまず。
何よりも、元の「声」が素晴らしい。
現代のピアノでは夢に見るような美声であります。
味があるんです。
日本では味のないモノクロピアノが多いですね。小さなホールでさえみな立派なスタインウェイやヤマハなどのコンサートグランドですが、味気ないのよね。
綺麗に整いすぎ。
そこなんでしょうね。日本人の耳が養われないのは。
精製水や蒸留水飲んでる感じ。
味も成分も取り除いちゃった医療水のよう。
よく「綺麗な音を」「美しい音を」というけれど、正直音楽の中には様々な「音」が存在している。
日本人は体が薄いためにコンサートグランドピアノを鳴らせることが難しい。
しまいに指も細く、華奢であります。
いつしかレッスンで「ここはもっと厚みのあるffが必要だ」と言って弾いて聞かせてみた。するとその生徒さんが「私、そんな大きな音は出せません。音が汚くなるし」と。でもここはこの曲がffを必要としているからどうやるの?と聞くと、その人のやった方法はなんと、、、拳骨でダン!と低音を殴った(引っ叩くのとちょっと違う)音でした。
言葉を失った。
その出した「音」の方がよっぽど汚く、音楽の音ではなく単なる物体の「音」だったから。
響いてれば良いんじゃないんですよ?
、、、、、ないんだな、仕方ない。
もしこの100歳ピアノでそれやるのを想像してみてよ?
泣くよ。
これまでヨーロッパでいろいろなピアノを弾いてきました。そして機能が万全に整っていなくても引き出せる「声」がある。
それらはピアノそのものが教えてくれた。
ありがたい事です。
6/17(土)東京リサイタルはベヒシュタインのコンサートグランドです。
木🌲の音がしますよ。
日本でもだいぶ増えてきたピアノメーカー。
ご興味ある方はぜひご来場ください😉
よろしくお願いいたします。
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